コラム

テレアポのターゲット選定は、企業規模で「落ちる場所」が変わる——7,709社の実測データ

2026年8月28日

テレアポのターゲット選定は、企業規模で「落ちる場所」が変わる——7,709社の実測データ

テレアポのターゲットを決めるとき、企業規模は最初に触る条件です。「従業員300名以上」「1,000名以上」と一行変えるだけでリストの中身が入れ替わるので、手軽に効きそうに見えます。

規模を上げる判断には、もっともらしい理由もあります。規模が大きいほど導入したときの効果が大きく、単価も上がる。だから上げたほうがいい、という理屈です。

ただ、私たちが支援先の架電記録を規模帯ごとに集計したところ、規模を上げると落ちるのはアポ率だけではありませんでした。落ちる場所そのものが変わっていました。

この記事では、ある支援先1プロジェクト・7,709社の架電記録を規模帯別に開いて、規模を一段上げると何がどれだけ変わるのかを示します。そのうえで、自社のターゲット規模をどう決めればいいかまで書きます。


この記事でわかること:

  • 企業規模を一段上げると、アポ1件に必要な架電社数がどれだけ増えるか

  • その落ち込みが「受付の壁」と「担当者の壁」にどう分かれるか

  • 受付の壁だけはリストの作り方で消せる、という実測

  • 自社のターゲット規模を決める4つの問い


結論:規模が変えるのは「取りやすさ」ではなく「落ちる場所」

先に結論を書きます。

企業規模を上げると、アポは取りにくくなります。ここまでは想像どおりです。問題はその内訳でした。

落ち込みは「受付で止まる」と「担当者に必要性を感じてもらえない」のほぼ半分ずつに分かれます。

この2つは打ち手がまったく違います。受付の壁はリストの作り方で下げられますが、担当者の壁はリストでは下がりません。

だからターゲット規模を決めるときの問いは、「大きい企業と小さい企業のどちらが取れるか」ではありません。上げたときに増える壁が、自社に消せる側の壁かどうかです。

なぜそう言えるのかを、実測で示します。

実測:規模を一段上げると、アポ1件に必要な社数は4倍になった

ある支援先1プロジェクトの架電記録を使います。同じ商材、同じ架電チーム、同じスクリプトで、先方から提供されたリストに架電したものです。社名・業界・商材は伏せています。

集計では、リスト名の「300名以上」といった名称ではなく、1社ごとに記録されている従業員数の実データで規模帯に分けました。

テレアポのターゲット選定と企業規模の実測データ。アポ1件あたりの架電社数が従業員300〜999名では46社なのに対し1000〜2999名で129社、3000名以上で182社に増え、受付で止まる割合も43.1%から55.5%へ上がることを示した横棒グラフ

代表電話番号だけが載っているリストで、2026年7月に初回架電した1,825社の結果です。

  • 300〜999名(687社):アポ率 2.2%。アポ1件あたりの架電社数は46社

  • 1,000〜2,999名(774社):アポ率 0.8%。アポ1件あたり129社

  • 3,000名以上(364社):アポ率 0.6%。アポ1件あたり182社

同じ商材を同じチームがかけて、アポ1件を取るのに必要な架電社数が46社から182社へ、約4倍になりました。

「300名以上」で切っても意味がなかった

このプロジェクトでは当初、「300名以上」が境界線として意識されていました。ところが実測すると、300〜999名と1,000名以上のあいだに大きな段差があり、壁は300名ではなく1,000名付近にありました。

規模の条件を書き換えるとき、私たちは「300名以上」「1,000名以上」ときりのいい数字を選びがちです。その数字が自社の商材にとっての境界線と一致している保証はどこにもありません。

この差は「大企業に手を抜いたから」ではない

規模帯ごとの差を見るときは、先に別の説明を潰しておく必要があります。私たちが確認したのは次の3点です。

まず、コール回数です。1社あたりのコール回数は規模帯によらず1.6〜1.7回でほぼ同じでした。大きい企業に少ない回数しかかけていない、という説明は成り立ちません。

なお、回数を重ねたときに接触率がどう動くかは規模とは別の話です。回数別の実測は再コールは何回まで意味があるかの記事にまとめています。

次に、月の影響です。このプロジェクトでは8月に現場の手応えが落ちていました。もし大きい規模帯だけが8月に偏っていれば、差は月のせいかもしれません。

実際は逆でした。3,000名以上は7月に95%が集中し、8月に偏っていたのは300〜999名の側です。期間の偏りは、規模の差を小さく見せる向きに働いています。

最後に、期間をそろえた比較です。上の数字は初回架電が7月の社だけに絞ったものです。6〜8月の全期間で集計しても、2.2%→0.8%→0.6%が1.5%→0.9%→0.5%になるだけで、順序は変わりません。

落ち込みの半分は受付、半分は担当者

ここからが本題です。アポ率は2つの段階の掛け算に分解できます。

アポ率 = 担当者と話せた割合 × 話せた後にアポになった割合

同じ1,825社をこの2段階に分けると、こうなります。

企業規模別にテレアポの失注箇所を分解した実測データ。担当者と話せた割合が27.5%から14.6%へ、話せた後のアポ率が7.9%から3.8%へ、どちらもほぼ半分になることを示した横棒グラフ
  • 300〜999名:担当者と話せた割合 27.5% → 話せた後のアポ率 7.9%

  • 1,000〜2,999名:17.7% → 4.4%

  • 3,000名以上:14.6% → 3.8%

300〜999名と3,000名以上を比べると、担当者と話せた割合は0.53倍、話せた後のアポ率は0.48倍です。どちらもほぼ半分になっていて、アポ率が約4分の1になるのはこの掛け算の結果でした。

受付で止まった割合も43.1%から55.5%へ上がっています。規模が上がるほど受付が固くなるのは体感どおりですが、体感で見落とすのはもう一方です。担当者につながった後の脱落が、同じだけ増えています。

現場からも同じ話が上がっていました。受付で断られること自体は規模を問わず起きていて、変わったのは「つないでもらえたのに必要ないと言われる」ほうだ、という報告です。数字はこれを裏づけていました。

自社の架電データを規模帯ごとに分解してみたい、という段階でしたら、どの単位で切ると判断に使えるかも含めてご相談ください

受付の壁は直通番号で消せる。担当者の壁は消えない

このプロジェクトでは、代表電話番号だけのリストと、部署の直通番号がついたリストの両方に、同じチームが同じ期間に架電していました。同じ規模帯どうしで比べられます。

テレアポのターゲット選定における直通番号の効果を示した実測データ。同じ企業規模帯でも部署直通番号つきリストはアポ1件あたりの架電社数が代表番号のみのリストの約3分の1で済むことを示した横棒グラフ
  • 300〜999名:直通番号つき 22社 / 代表番号のみ 66社

  • 1,000〜2,999名:32社 / 107社

  • 3,000名以上:50社 / 193社

アポ1件あたりの架電社数です。どの規模帯でも、直通番号があるだけで約3分の1で済んでいます。

さらに重要なのは、受付で止まった割合の動き方です。ここは6〜8月の全期間で比べます。代表番号のリストでは規模が上がるにつれて38%から55%へ上がっていくのに対し、直通番号つきのリストでは34〜43%のあいだで横ばいでした。規模による受付の壁は、番号を変えるとほぼ消えます。

一方で、消えないものもあります。直通番号つきのリストでも、話せた後のアポ率は11.2%→7.6%→6.2%と、規模とともに下がりました。

つまりこういうことです。規模を上げたときに増える壁のうち、受付側はリストの作り方で消せますが、担当者側は消せません。担当者の反応は、規模が上がるほど「すでに自社で対応している」に寄っていくためです。

なお、直通番号つきリストの300名以上は母数が小さく(350社・192社・99社)、傾向として読む数字です。それでも3つの規模帯で同じ向きに動いています。

受付で止まる割合そのものの読み方は、テレアポの受付突破率と「平均20%」の記事で分母の取り方から書いています。

3,000名以上で増える断り文句は「本社が管理している」

担当者に断られた理由の内訳を見ると、規模帯で構成が変わっていました。

3,000名以上では「本社・グループ会社が管理している」が17〜18%を占めます。300〜999名では7〜8%ですから、倍以上です(3,000名以上は母数が小さいため参考値として扱っています)。

これはトークで返せる断りではありません。かけた先に決める権限がない、というリストの問題です。規模の大きな企業に拠点単位でかけている限り、何度かけても同じ理由で終わります。

規模を上げるときは、宛先の単位も一緒に上げる必要があります。事業所ではなく本社、子会社ではなくグループ本社です。これを変えずに規模だけ上げると、大きい企業を狙っているつもりで、決められない人にかけ続けることになります。

ターゲット規模を決める4つの問い

ここまでの実測を、着手前の判断に落とします。

1. 規模が上がると、必要性は上がるか下がるか

規模が大きいほど「効果が大きいから売れるはず」と考えがちですが、対象人数が増えることと、困っていることは別です。

このプロジェクトの商材は、規模が大きいほど対象になる人数が増えるはずのものでした。それでも大きい企業ほど断られたのは、規模が大きい企業ほど社内に担当部署と体制があり、すでに自前で回していたからです。

判断材料は既存顧客の分布です。受注済みの顧客が規模帯ごとに何社いるかを数えて、そこにいない規模帯を新規で狙わない。これが一番外れにくい方法です。

2. 直通番号を用意できるか

規模を上げると受付の壁が上がりますが、直通番号があればほぼ消えます。逆に言えば、代表番号だけのリストで規模を上げる判断は、受付の壁を丸ごと引き受ける判断です。

先方から直通番号つきのリストを提供してもらえるか、購入できるか、自社で調べる工数を持てるか。ここが用意できないなら、規模を上げる前に番号を用意するほうが効きます。

3. 拠点と本社、どちらにかけているか

規模を上げるなら、宛先の単位を先に決めます。判断の材料は断り理由の内訳です。「本社管理」「グループ会社で決めている」が1割を超えたら、リストの宛先が間違っている合図として扱っています。

4. 何社かけてから判断するか

規模帯を切り替えたとき、最初の数十社の手応えで判断すると、ほぼ確実に誤ります。アポ率が1%前後の世界では、100社かけてアポ1件かゼロかは偶然の範囲だからです。

上の実測でも、最も少ない規模帯は364社でアポ2件です。規模帯ごとに数百社を目安に、率ではなくアポ件数が二桁に近づくまでは、途中経過を傾向として扱う。私たちはこの基準で運用しています。

規模帯を切ったリスト設計から実行までをどう回しているかは、サービス概要にまとめています。

このプロジェクトで、私たちがやらなかったこと

先方からは「規模が大きいほど対象者が増えるので、300名以上を伸ばしたい」という意向が出ていました。もっともな理屈です。

それでも規模帯を一気に上げる提案はしませんでした。上の数字が出ていたためです。代わりに現場の数値と手応えを並べて共有し、規模帯ごとの結果を見ながらすり合わせる形にしました。

同時に、やらないと決めたこともあります。月をまたいだ前後比較で「規模を上げたら悪化した」とは言わないことです。稼働量もリストの追加ペースも月ごとに変わるため、前後で比べると規模以外の要因が混ざります。この記事の数字を7月だけに絞って出しているのは、そのためです。

外注先を選ぶときも、この点は見ておく価値があります。規模帯を切り替えた結果を「先月比」だけで説明してくる相手は、規模の効果と月の効果を分けていない可能性があります。

よくある質問

Q. テレアポのターゲットは企業規模で絞るべきですか

絞る価値はありますが、「大きいほうがいい」という一般解はありません。実測では、同じ商材でも規模を一段上げるとアポ1件あたりの架電社数が約4倍になりました。まず既存顧客がどの規模帯にいるかを数え、そこから外れる規模帯を新規で狙わないところから始めるのが確実です。

Q. 従業員300名以上、1,000名以上のどこで切るのがよいですか

商材によって違うため、実データで決めます。私たちが集計したプロジェクトでは、意識されていた「300名以上」ではなく1,000名付近に段差がありました。きりのいい数字が自社の境界線とは限りません。規模帯を細かく分けて集計すると、どこに段差があるかが見えます。

Q. 大企業のほうが受付が固いという理解で合っていますか

半分は合っています。実測では受付で止まる割合が43.1%から55.5%へ上がりました。ただし同じだけ、担当者に会えた後のアポ率も7.9%から3.8%へ下がっています。受付だけを問題視すると、もう半分の脱落を見落とします。

Q. 直通番号つきのリストはそれほど効果がありますか

同一プロジェクト・同一期間の比較では、どの規模帯でもアポ1件あたりの架電社数が約3分の1になりました。受付で止まる割合が規模帯によらず横ばいになるためです。ただし直通番号があっても、担当者に必要性を感じてもらえない分の脱落は残ります。

Q. 規模帯を変えた効果は、何か月見れば判断できますか

月数ではなく件数で見ることをおすすめします。アポ率が1%前後の商材では、100社程度の結果は偶然に埋もれます。規模帯ごとに数百社、アポ件数が二桁に近づくまでは途中経過として扱ってください。月をまたぐ比較は、稼働量やリスト追加の変動が混ざるため慎重に扱います。


記事のまとめ

  • 企業規模を一段上げると、同じ商材・同じチームでもアポ1件に必要な架電社数が46社から182社へ約4倍になった

  • 落ち込みは「受付で止まる」と「担当者に必要性を感じてもらえない」でほぼ半分ずつに分かれる

  • 受付の壁は部署直通番号つきのリストでほぼ消える(アポ1件あたりの架電社数が約3分の1)が、担当者の壁は消えない

  • 3,000名以上では「本社・グループ会社が管理している」という断りが17〜18%を占め、これは宛先の単位の問題

  • 規模の境界線はきりのいい数字ではなく自社のデータで測る。判断は率ではなくアポ件数が積み上がってから

企業規模の境界線は、きりのいい数字ではなく自社のデータで測る——これがこの記事の結論です。次にやることは、自社の架電記録を規模帯で切り直し、受付で止まった分と担当者で止まった分を分けて数えることになります。

つまずきやすいのは集計そのものより手前です。規模帯の区切りや結果区分がリストごとに揃っていないと、切り直しても比較になりません。私たちが今回の集計をしたときも、比較できる形に整えるところに一番時間がかかりました。

自社のリストがこの分解に耐えるか、耐えないなら何を記録に足せばいいかを見てほしい場合は、ページ下部の「お問い合わせ」からご相談ください。規模帯の決め方から実行までをどう組むかも、あわせてお話しします。


執筆: 株式会社Woltz インサイドセールス支援チーム

株式会社Woltzは、BtoB企業のインサイドセールスを設計から実行まで支援しています。これまでに100社以上の新規開拓を支援し、継続率は99%です。

本記事の数値は、支援先1プロジェクトの架電記録7,709社分を集計した実測値です(社名・業界・商材は伏せています)。支援の進め方はサービス概要とサービス紹介資料をご覧ください。

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