コラム
休眠顧客の掘り起こしテレアポは、新規開拓と同じ設計では返ってこない——かける前に決める4つのこと
2026年8月25日

休眠顧客の掘り起こしは、新規開拓のテレアポと同じ設計では成果が返ってきません。リストの形式が似ているので同じ仕事に見えますが、電話の中身は別物です。
私たちがインサイドセールス支援の現場で繰り返し見てきたのは、「掘り起こしリストを渡して、あとは新規と同じように架電してもらう」という進め方でつまずくケースでした。アポの数以前に、戻ってきた情報が、発注した側がすでに知っていることばかりになるという失敗が起きます。
原因は架電の技術ではなく、かける前の設計にあります。
この記事でわかること:
休眠顧客の掘り起こしテレアポが、新規開拓と決定的に違う3つの点
かける前に発注側と実行側で決めておく4つのこと(失注理由・ヒアリング項目・オファー・期間)
掘り起こしテレアポの手順4ステップと、実際の入り方のトーク例
掘り起こしやすい相手・やりにくい相手の見分け方
- 休眠顧客の掘り起こしが新規開拓と違う3つの点
- 1. 相手にはすでに接点がある
- 2. 断られた理由がすでに存在する
- 3. 発注側が一度アプローチしている
- かける前に決める4つのこと
- ① リストの失注理由を、発注側で整えてから渡す
- ② 必須ヒアリング項目を事前に合意する
- ③ 強いオファーを切る順番を決める
- ④ 架電の期間を分散させる
- 掘り起こしテレアポの手順4ステップ
- ステップ1 失注理由でリストを分ける
- ステップ2 前回から変わったことを一言で用意する
- ステップ3 理由ごとの切り返しを用意する
- ステップ4 アポにならなくても必須項目を持ち帰る
- 掘り起こしやすい相手・やりにくい相手
- 動きやすい: 属人的に管理している / 専用のサービスを入れていない
- 動きにくい: 他社サービスを導入していて、運用が落ち着いている
- 中間: 前回の担当者が異動・退職している
- アポが取れなかった月に何が残るか
- よくある質問
- Q. 休眠顧客の掘り起こしは、新規開拓より簡単ですか
- Q. 失注理由がリストに入っていない場合はどうすればよいですか
- Q. 何件くらいの規模から外注する意味がありますか
- Q. 掘り起こしのトークスクリプトは、新規用を流用できますか
- Q. 期間はどのくらいに分散させるべきですか
- Q. 断られた相手に、またかけてもよいのでしょうか
- まとめ
休眠顧客の掘り起こしが新規開拓と違う3つの点
休眠顧客リストとは、一度は問い合わせや商談があったものの、失注した、あるいは時期が合わずに検討が止まった企業の集合です。失注リストや過去の展示会リードもここに含まれます。新規リストとの違いは3つあります。

1. 相手にはすでに接点がある
これが最も効いてきます。接点のない相手には、現状や課題をゼロから素直に聞けます。一度やり取りのある相手には、同じ質問が「前に話したことをまた聞かれている」という印象になりかねません。
現場のアポインターからは、接点がある相手ほど、どこまで踏み込んで聞くのが失礼にならないかの判断が難しいという声が上がります。新規開拓なら「聞きやすさ」だった条件が、掘り起こしでは制約に変わります。
2. 断られた理由がすでに存在する
新規開拓では、断られる理由はその場で初めて出てきます。掘り起こしでは、理由の大半はすでにリストの中にあります。時期尚早だった、他社サービスを使っている、社内の優先度が上がらなかった——理由が事前にわかるということは、切り返しを事前に設計できるということです。
これは掘り起こしの側にある明確な有利さです。ただし、次に述べるとおり、その理由が使える状態で残っているかは別の問題です。
3. 発注側が一度アプローチしている
掘り起こしリストは、発注した企業自身が一度手をつけた先です。だからこそ、すでに社内にある情報を持ち帰っても価値になりません。「その先」が取れて初めて意味が出ます。
ヒアリング項目を決めずに架電すると、戻ってくるのは自社ですでに把握している範囲の情報になりがちです。実際に「もうそこまでは自分たちで活動している。その先が欲しかった」という評価になった取り組みがありました。
かける前に決める4つのこと
掘り起こしテレアポの成否は、リストを渡す前のすり合わせでほぼ決まります。決めるのは次の4つです。
① リストの失注理由を、発注側で整えてから渡す
失注理由が理由ごとに揃っていれば、理由別の切り返しを事前に用意できます。逆に理由の欄が空いていたり、書き方がまちまちだったりすると、設計はできません。
現実には、失注理由は「記載はあるが、入力した担当者によって精度がバラバラ」という状態がよくあります。これは渡す前に発注側で目を通し、粒度を揃えるべき作業です。実行側がリストを見ながら「この情報は追加で取れますか」と聞ける関係を先に作っておくと早くなります。
② 必須ヒアリング項目を事前に合意する
「アポが取れたら報告」だけでは、掘り起こしの価値の半分を捨てることになります。アポにならなかった相手からも、次の提案に使える情報を必ず持ち帰る設計にします。
たとえば次のような項目です。
現在使っている他社サービスは何か
その契約はいつ終わるのか
前回検討したときから、社内の体制や優先度は変わったか
商談を担当する営業にとって、何を訴求すればよいか決まらない状態がいちばんのストレスです。契約の終了時期がわかるだけで、いつ、何を持って行くかが決まります。項目は多くしすぎず、必ず聞くものを数個に絞って合意するのが実務的です。
③ 強いオファーを切る順番を決める
無料トライアルや特別な条件など、強いオファーを持っている場合ほど注意が必要です。電話の早い段階で出すと、そこで相手の関心が止まったときに、次に動かす材料が手元に残りません。
実際、強いオファーを提示しても「あるならやってみようか」程度の反応にとどまり、前のめりにはならなかったケースがあります。強いカードは、相手の課題が見えてから切るほうが効きます。

順番を決めるとは、具体的には「電話で出すもの」「商談まで温存するもの」を線引きしておくことです。この線引きは、実行側だけでは決められません。発注側が持っている打ち手の全体像が必要です。
④ 架電の期間を分散させる
短期間に集中して架電すると、アポも同じ時期に固まります。受け取る営業の人数が限られている場合、対応が追いつかずに商談の質が落ちます。
同じ件数でも、期間を広げて配分したほうが受け手は対応しやすくなります。長期休暇のように反応が読めない期間は、あらかじめ架電の対象期間から外しておきます。
掘り起こしテレアポの手順4ステップ
準備が決まったら、実際の設計は次の順で進めます。
ステップ1 失注理由でリストを分ける
まず理由ごとにグループを作ります。「時期が合わなかった」「他社サービスを使っている」「予算がつかなかった」「担当者が不在・異動」といった単位です。理由が違えば、話す内容も、そもそも今かけるべきかどうかも変わります。
ステップ2 前回から変わったことを一言で用意する
掘り起こしの電話には、かけ直す理由が要ります。用意するのは次の一言です。
アポインター: 以前ご検討いただいた際から、こちらで変わった点がありまして、そのご連絡でお電話しました。
機能が増えた、対応できる範囲が広がった、提供形態が変わった——何でも構いません。前回と同じ話を、同じ内容で持っていくことだけは避けます。
ステップ3 理由ごとの切り返しを用意する
ステップ1で分けたグループごとに、短い切り返しを作ります。長い反論は不要です。相手の断り文句に対して、会話を1往復先に進めるための一文があれば足ります。
たとえば「他社サービスを使っている」に対しては、乗り換えを迫るのではなく、契約の区切りを聞ける形にします。
アポインター: 現在は他社さんのサービスをお使いということですね。差し支えなければ、そちらのご契約はいつ頃までのご予定でしょうか。
相手: 来期の頭までですね。
アポインター: ありがとうございます。では今すぐという話ではないと思いますので、そのタイミングの少し前にあらためてご連絡してもよろしいでしょうか。前回からこちらで変わった点だけ、そのときにお伝えできればと思います。
満足して使っている相手に、コストや契約条件の粗を突く形で切り込むと、拒否反応が返ってきます。掘り起こしではその電話で決めきることより、次に話せる状態を残すことのほうが価値になる場面が多くあります。
ステップ4 アポにならなくても必須項目を持ち帰る
②で合意した項目を、断られた電話からも回収します。ここが掘り起こしと新規開拓のいちばん大きな運用差です。アポ数だけを見ていると、この持ち帰りが評価されず、現場も聞かなくなります。
報告のフォーマットに必須項目の欄を作り、アポの有無と並べて記録するところまでを設計に含めます。私たちが掘り起こし案件でこの設計をどう組んでいるかは、サービス概要にまとめています。
掘り起こしやすい相手・やりにくい相手
同じ休眠リストの中でも、反応の出やすさには傾向があります。
動きやすい: 属人的に管理している / 専用のサービスを入れていない
表計算ソフトで管理している、担当者ごとにやり方が違う、専用のサービスを入れていない——こうした状態の相手には、効率化・一元化の切り口が通りやすくなります。困りごとが表に出ているためです。
動きにくい: 他社サービスを導入していて、運用が落ち着いている
満足して使っている相手に、コストや契約条件の粗を突く形で切り込むと拒否反応が返ってきます。ここは無理に崩さず、契約の区切りを押さえて次につなぐのが結果的に近道です。
中間: 前回の担当者が異動・退職している
後任の方につないでもらう切り口は、断られることも多いのが実際です。個人を探すより、会社としての検討状況を聞く形に切り替えたほうが会話が続きます。
「満足している相手を無理に動かそうとしない」ことは、掘り起こしでは特に重要です。その一本の電話で無理に押すと、次にかけられる関係まで失います。
アポが取れなかった月に何が残るか
掘り起こしは、新規開拓よりも母数が小さく、当たり外れの波が出ます。だからこそ、アポ以外に何を残すかを最初に決めておく必要があります。
必須ヒアリング項目が回収できていれば、「今は動かないが、いつ動くかがわかっている先」のリストが手元に残ります。これは次の期の営業計画に直接使えます。掘り起こしの成果を、その月のアポ数だけで判断しないことをおすすめします。
よくある質問
Q. 休眠顧客の掘り起こしは、新規開拓より簡単ですか
一度接点があるぶん、話は聞いてもらいやすい傾向があります。一方で、踏み込んだ質問がしにくく、断られた理由も残っているため、事前設計の負荷はむしろ高くなります。簡単というより、準備の比重が違うと考えるのが実態に近いです。
Q. 失注理由がリストに入っていない場合はどうすればよいですか
理由が取れないまま架電すると、切り返しが設計できず、新規開拓と同じ電話になります。まずは分かる範囲で分類し、それも難しい場合は、初回の架電を「理由の回収」を主目的にした設計に切り替えるほうが結果的に早くなります。
Q. 何件くらいの規模から外注する意味がありますか
件数よりも、失注理由と必須ヒアリング項目が用意できるかどうかで判断してください。件数が多くても設計が空のままだと、戻ってくる情報が薄くなります。
Q. 掘り起こしのトークスクリプトは、新規用を流用できますか
冒頭部分は流用できません。かけ直す理由(前回から変わった点)を最初に置く必要があるためです。ヒアリング部分は、必須項目を差し替える形で流用できます。スクリプトの組み立て方そのものは無形商材のテレアポは、説明するほどアポが遠のくで解説しています。
Q. 期間はどのくらいに分散させるべきですか
受け取る営業の人数と、商談の準備にかかる時間から逆算します。アポが特定の週に固まらない配分にすることが目的なので、まずは架電を短期集中で終わらせない、という一点だけ決めておけば十分です。
Q. 断られた相手に、またかけてもよいのでしょうか
契約の区切りや検討時期を聞き、相手の合意を取ったうえで次の連絡時期を決めておけば問題になりにくくなります。合意なく間隔を詰めてかけ直すことは避けます。
まとめ
休眠顧客の掘り起こしテレアポでつまずく原因は、架電の技術よりも、かける前の設計にあります。決めるのは4つです。
リストの失注理由を、発注側で整えてから渡す
必須ヒアリング項目を事前に合意する
強いオファーを切る順番を決める
架電の期間を分散させる
この4つは、実行側だけでも発注側だけでも決められません。リストを渡す前に、両方で合意しておくことをおすすめします。
この記事を書いた会社
執筆: 株式会社Woltz インサイドセールス支援チーム
株式会社Woltzは、戦略設計からリスト作成・架電・商談化まで一貫して支援するインサイドセールス総合支援サービスを提供しています。ご利用企業数は100社以上、継続率は99%です。掘り起こしの設計を含む支援の進め方は、サービス概要とサービス紹介資料をご覧ください。
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