コラム
テレアポのスクリプト改善は、直す前に「スクリプトでは動かない部分」を外す——構成・例文・切り返し・測り方

テレアポのスクリプトを直したのに、数字が動かない。
解説記事のとおりに構成を分け、冒頭15秒を短くし、切り返しも用意した。それでもアポの数は先月とほとんど変わらない——この相談を、私たちは毎月受けています。
原因の多くは、スクリプトの出来ではありません。その月の数字の中に、スクリプトでは動かない部分が混ざっていることです。
かけたリストが違えば、同じ台本でも受付で止まる率は何倍も変わります。同じ台本・同じ商材でも、月が変われば担当者につながる率は動きます。混ざったまま前月と比べても、スクリプトが効いたのかどうかは分かりません。
この記事では、支援先の実測を出しながら、スクリプトで動く部分と動かない部分を分け、そのうえで構成・例文・切り返し・改善の測り方を順に書きます。
この記事でわかること:
スクリプトを直しても動かない部分は、実測でどれくらいあるのか
テレアポのスクリプトを4つのパートに分ける作り方と、各パートの例文
「今は必要ない」「資料を送って」への切り返しをどう用意するか
スクリプトの改善が効いたかどうかを、どういう条件なら測れるのか
- 結論:スクリプトを直す前に、リストと担当者の差を外す
- 実測1:リスト種別で、受付で止まる率は57%と7%
- 実測2:同じスクリプトでも、月と人で動く
- スクリプトの構成:4つのパートに分けて、パート単位で直す
- 例文:パートごとの型
- 受付への一言
- 名乗りと用件
- ヒアリング
- 日程の提示
- 断り文句への切り返し
- 「今は必要ない」
- 「資料を送っておいてください」
- 「担当者は不在です」
- 改善サイクル:効果を測れる条件を先に作る
- 1. 同じ種別のリストで比べる
- 2. 切り替えた日を特定する
- 3. 稼働が連続している
- 4. 件数が十分に積み上がっている
- このデータで、私たちが言わないことにしたこと
- よくある質問
- Q. テレアポのスクリプトはどこから改善すればいいですか
- Q. スクリプトを直したのに数字が変わらないのはなぜですか
- Q. トークスクリプトの基本構成を教えてください
- Q. 「資料を送ってください」と言われたらどうしますか
- Q. スクリプト改善の効果はどうやって測りますか
- 記事のまとめ
結論:スクリプトを直す前に、リストと担当者の差を外す
先に結論を書きます。
私たちの支援先の実測では、同じ商材・同じ架電チームでも、リストの種別が変わると受付で止まる率は57%から7%まで開きました。スクリプトは同じです。
同じ商材で1つのリストを続けている場合でも、担当者につながる率は月によって5.9%から11.0%まで動きました。同じ期間・同じ商材で、コールスタッフが違うだけでも1.3倍の差が出ています。
つまり、月次の数字を前月と並べて「スクリプトが効いた/効かなかった」と読むと、リストと人の差をスクリプトの成果として読むことになります。
順番はこうです。まずリストと担当者の差を外す。そのうえでスクリプトを構成に分け、パートごとに直す。最後に、比較が成立する条件を整えてから測る。
実測1:リスト種別で、受付で止まる率は57%と7%
最初に、スクリプトでは動かない部分の大きさを見ておきます。

テレアポのスクリプト改善で外すべきリストの差。同じ商材・同じ架電チームで3種類のリストに並行架電したとき、受付で止まった率は新規リスト57%、展示会経由の紹介リスト12%、過去に問い合わせのあったリスト7%だったことを示した横棒グラフ
ある支援先で、同じ商材・同じ架電チームが3種類のリストに並行してかけた記録です。
新規リスト(482社):受付で止まった率 57%
展示会経由の紹介リスト(401社):12%
過去に問い合わせのあったリスト(396社):7%
担当者と会話ができた割合も、26% / 41% / 26%と分かれています。台本は同じで、違うのは相手との接点だけです。
接点のないリストでは、スクリプトが良くても半分以上が受付で止まります。これはトークの問題ではないので、冒頭の言い回しをいくら直しても埋まりません。
逆に言えば、改善の効果を見たいなら同じ種別のリストどうしで比べる必要があります。先月は紹介リスト中心、今月は新規リスト中心、という月をまたいだ比較は成立しません。
実測2:同じスクリプトでも、月と人で動く
リストを揃えても、まだ動く部分が残ります。

同一の支援先・同一商材で、架電11,213件を月別に見た担当者接触率です。
4月:5.9%
5月:7.3%
6月:11.0%
7月:7.8%
8月:6.2%(26日まで)
最も高い月と低い月で約1.9倍です。スクリプトを変えていない期間でも、これだけ動きます。
同じ期間・同じ商材でも、コールスタッフによる差もあります。担当者Aが7.8%(5,136架電)、担当者Bが5.9%(710架電)で約1.3倍でした。Bは分母が一桁小さいので幅を持って見る必要がありますが、人によって動くこと自体は現場の実感とも一致します。
この2つを知らずに前月比だけを見ると、スクリプト以外の理由で動いた数字を、スクリプトの成果として扱ってしまいます。
スクリプトの構成:4つのパートに分けて、パート単位で直す
ここからが本題です。スクリプトは全体を書き直すのではなく、パートに分けて、落ちている場所だけを直します。
受付への一言:取り次いでもらう。目的は説明ではなく通過
名乗りと用件:何の用件かを一文で伝える。ここで警戒されると以降が読まれない
ヒアリング:相手の状況を聞く。商材の説明はここでは最小限
日程の提示:次の15分を取る。日付を出して同意を取る

パートごとに分けるのは、どこで落ちているかを結果欄と突き合わせるためです。受付で止まっているのに、ヒアリングの質問を増やしても数字は動きません。
結果の記録が「NG」の一語だけだと、この切り分けができません。受付で止まったのか、担当者と話して断られたのか、不在だったのかを分けて残すところから始めます。
無形商材で、説明するほど警戒される場合の組み立ては情報収集型スクリプトへの転換に詳しく書いています。
例文:パートごとの型
例文は、そのまま読む台本ではなく型として置きます。業種と商材で言葉は変わるので、狙いと構造だけを共通にします。
受付への一言
「お世話になっております。◯◯の件でご担当者さまをお願いできますでしょうか」
用件を一言で言い切り、説明を足さないのが型です。ここで商材の価値を語り始めると、受付の判断材料が増えて止まりやすくなります。
取り次ぎの可否を決めるのは受付の方であって、商材の良し悪しではありません。判断に必要な情報だけを短く渡します。
名乗りと用件
「◯◯の支援をしております、株式会社△△の□□と申します。本日は、御社で◯◯をどう進めていらっしゃるかを伺えればと思いご連絡しました」
名乗りのあとに、聞きに来たという立て付けを置きます。売りに来たと伝わると、そこで会話の枠が決まります。
用件は一文です。二文目を足したくなりますが、足すほど「何の電話か」がぼやけます。
ヒアリング
「今は、どういった形で対応されていますか」
「そのやり方で、困る場面はありますか」
現状を聞いてから、困りごとを聞きます。順番が逆だと、相手は「困っていません」と答えやすくなります。
数字や成果を直接聞きたい場面でも、いきなりは聞けません。相手が答えやすい事実から入り、判断は相手に委ねる形にします。
日程の提示
「15分だけ、事例をお持ちして説明させてください。来週の前半と後半でしたら、どちらがご都合よろしいですか」
所要時間を先に言い、日付の幅を2つ出します。「ご都合のよいときに」では日程が決まらず、後日の調整に流れます。
日程が決まらないまま終わった先は、次にいつ連絡するかをその場で決めて記録に残します。記録が無いと、追いかけようがありません。
断り文句への切り返し
切り返しは、その場のアドリブではなく、よく出る3つだけを用意します。多すぎると覚えられず、結局使われません。
「今は必要ない」
このタイミングで詳しく説明しても戻りません。次の接点を作って終わります。
「承知しました。今すぐでなくて構いませんので、◯◯を見直されるタイミングだけ伺えますか」
必要のなさを崩そうとせず、時期を聞いて再コールの候補に回します。
「資料を送っておいてください」
断り文句として使われることが多い一言ですが、私たちの実測では資料送付はアポとほぼ同じ数だけ発生していました。支援先8プロジェクト・のべ25プロジェクト月で、アポ187件に対し資料送付174件です。
送って終わりにせず、宛名・見たい部分・次の連絡日の3つを取ります。この設計は「資料を送ってください」は断り文句かの記事にまとめています。
「担当者は不在です」
不在は断りではありません。いつ戻るかを聞いて、その時間帯に合わせて再コールします。
私たちの集計では、再コールの後半に残っているのは断られた先ではなく、まだ会話が成立していない先でした。何回までかけ直す意味があるかは再コールの回数を実測した記事で書いています。
自社のスクリプトのどこで落ちているかを、記録と突き合わせて見てほしいという段階でしたら、実際の架電記録を見ながらのご相談もお受けしています。
改善サイクル:効果を測れる条件を先に作る
最後に測り方です。ここが一番とばされます。

スクリプトの前後を比べるには、次の4つが揃っている必要があります。
1. 同じ種別のリストで比べる
実測1のとおり、リストが変わると受付で止まる率は何倍も変わります。前後で違う種別を混ぜると、スクリプトの効果は埋もれます。
2. 切り替えた日を特定する
説明した日ではなく、実際に新しい話し方で架電が始まった日です。スクリプトを共有しても、現場が使い始めるまでには差が出ます。
私たちが実際に集計したときも、説明の日と実運用の開始日が1週間近くずれていました。説明日を境に前後を切ると、切替前に切替後の架電が混ざります。
3. 稼働が連続している
途中に長い中断があると、期間をまたいだ比較になります。リストも体制も変わるので、スクリプト以外の要因と分けられません。
4. 件数が十分に積み上がっている
ここが最も厳しい条件です。アポの実数が一桁のうちは、率が数ポイント動いても偶然の範囲を出ません。
私たちの支援先でも、切り替えから3週間で架電は5,000件を超えましたが、アポの実数は一桁のままでした。この段階で「効いた」「効かなかった」とは言えないので、私たちは判断を保留しています。
測れるようになるまでの間は、アポではなく担当者接触率を見ます。分母が架電数そのものなので、アポより早く数字が積み上がります。
受付で止まる率と担当者接触率の測り方は、受付突破率「平均20%」は本当かにまとめています。
架電の記録の取り方から集計、スクリプトの見直しまでをどう運用しているかはサービス概要にまとめています。
このデータで、私たちが言わないことにしたこと
書けることと書けないことを分けておきます。
1つは、「このスクリプトに変えたらアポが何倍になった」という言い方です。私たちは支援先のスクリプトを切り替えた前後を実際に集計しましたが、4条件のうち件数が足りず、比較が成立しませんでした。
数字が出せる状態になっていないものを、効果として書くことはしません。
もう1つは、受付を通過するための身元や用件を偽る話法です。現場で通ることがあっても、記事には書きません。取り次いでもらった相手との関係が、そこから始められないためです。
よくある質問
Q. テレアポのスクリプトはどこから改善すればいいですか
どこで落ちているかを先に見てください。受付で止まっているのか、担当者と話して断られたのか、不在だったのかを結果欄で分けると、直すパートが決まります。受付で止まっている場合、ヒアリングの質問を足しても数字は動きません。
Q. スクリプトを直したのに数字が変わらないのはなぜですか
リストか人の差が混ざっている可能性があります。私たちの実測では、同じ商材・同じチームでもリスト種別で受付で止まる率は57%と7%の差があり、同じリストでも月によって担当者接触率が5.9%〜11.0%と約1.9倍動きました。
Q. トークスクリプトの基本構成を教えてください
受付への一言、名乗りと用件、ヒアリング、日程の提示の4パートに分けます。パートごとに目的を1つだけ決め、結果の記録もそのパート単位で残すと、どこを直すかが決まります。
Q. 「資料を送ってください」と言われたらどうしますか
送る前に、宛名・見たい部分・次の連絡日の3つを取ります。私たちの支援先8プロジェクトの実測では、資料送付はアポ187件に対し174件と、ほぼ同じ数だけ発生していました。断り文句として処理せず、第2の成果として設計する余地があります。
Q. スクリプト改善の効果はどうやって測りますか
同じ種別のリストで、実際に切り替わった日を境に、稼働が連続している期間どうしを比べます。そのうえでアポの実数が二桁に乗るまでは判断を保留し、分母の大きい担当者接触率を先に見ます。
記事のまとめ
スクリプトを直す前に、リストと人で決まっている部分を外す
同じ商材・同じチームでも、リスト種別で受付で止まる率は57% / 12% / 7%と開いた
同じリストでも担当者接触率は月次で5.9%〜11.0%(約1.9倍)、担当者間で1.3倍動いた
スクリプトは4パートに分け、落ちているパートだけを直す。結果の記録もパート単位で残す
切り返しはよく出る3つだけ用意する。資料送付はアポとほぼ同数発生しているので、断りとして処理しない
前後比較は、同じ種別のリスト・切替日の特定・稼働の連続・件数の4条件が揃って初めて成立する
スクリプトは、直す場所を決めてから直す——これがこの記事の結論です。次にやることは、直近1か月の結果欄を開いて、受付で止まった件数と担当者と話して断られた件数を分けて数えることになります。
手間がかかるのはその手前です。結果の記録が「NG」の一語だけだと、どのパートで落ちたのかが後から分かりません。記録の形を変えるところから始めると、最初の数字が出るまでに1か月かかります。
自社のスクリプトのどこを直すべきか、記録がその判断に使える形になっているかを見てほしい場合は、ページ下部の「お問い合わせ」からご相談ください。記録の取り方から改善の回し方まであわせてお話しします。
執筆: 株式会社Woltz インサイドセールス支援チーム
株式会社Woltzは、BtoB企業のインサイドセールスを設計から実行まで支援しています。これまでに100社以上の新規開拓を支援し、継続率は99%です。
本記事の数値は、支援先の架電記録と稼働記録を集計した実測値です。社名・業界・商材は伏せています。支援の進め方はサービス概要とサービス紹介資料をご覧ください。
関連記事:無形商材での組み立ては説明するほどアポが遠のくで書いています。
分母の取り方は受付突破率「平均20%」は本当かにあります。
再コールの回数は何回まで意味があるか、資料送付の扱いは「資料を送ってください」は断り文句かで書いています。

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