コラム
「資料を送ってください」は断り文句か——アポと同じ数だけ起きていた「第2の成果」の設計

「資料を送っておいてください」
テレアポをしていて、この一言を何度聞いたか数えている人は少ないと思います。多くの現場で、これは断り文句として扱われます。実際、テレアポの解説記事の多くも「資料送付は断りのサインなので、いかに切り返してアポに変えるか」という組み立てになっています。
切り返しの技術が要ることに異論はありません。ただ私たちが自社の記録を数え直したとき、前提のほうが揺らぎました。
資料送付は、アポとほぼ同じ数だけ起きていた
支援先8プロジェクト・6か月分を集計すると、アポ187件に対して資料送付は174件でした。0.93倍です。しかも直近の月ではアポを上回りました。
断り文句として処理するには、量が大きすぎます。
この記事でわかること:
資料送付が実際にどれくらいの頻度で起きているのか(実測)
「切り返してアポにする」だけでは何を取りこぼすのか
資料送付が発生したときに、その場で決めておく4つのこと
そのまま使える送付メールの文例
私たちがこのデータで「言わないことにした」こと
- 結論:切り返すか送るかの二択にしない
- 実測:6か月でアポ187件、資料送付174件
- この数字の作り方
- 「切り返してアポにする」だけでは足りない理由
- 資料送付が決まった瞬間に決める4つのこと
- 1. 宛名を取る(部署と氏名)
- 2. 「何を見たいか」を一つだけ聞く
- 3. 次の連絡日をその場で決める
- 4. 送付記録に「結果」を書く欄を作る
- そのまま使える送付メールの文例
- このデータで、私たちが言わないことにしたこと
- よくある質問
- Q. 「資料を送ってください」は断り文句ですか
- Q. 資料を送るとき、最低限何を聞いておけばいいですか
- Q. 送付後のフォローコールはいつかけるべきですか
- Q. 資料送付は成果として数えるべきですか
- Q. 粘るべきか、素直に送るべきかの判断基準はありますか
- Q. 自社で同じ集計をするには何が必要ですか
- 記事のまとめ
結論:切り返すか送るかの二択にしない
先に結論を書きます。
資料送付は、断りでもアポでもない「第3の状態」として設計したほうがいいというのが、実測から出た答えです。
理由は単純で、量が多いからです。アポとほぼ同数発生しているものを「失敗」に分類すると、成果の半分を捨てていることになります。
もうひとつ、現場の感覚として付け加えておきたいことがあります。同じ断られ方でも、「資料を送っておいてください」は、まだいいほうです。本当に取り付く島がないのは「忙しいので切ります」で、資料送付を求める相手は少なくとも情報を集める意思を示しています。
私たちは社内で、資料送付を「半分アポ」として扱っています(実測値ではなく、現場の評価に織り込むための運用上の扱いです)。粘ってもアポにならない相手から、担当者名とメールアドレスだけでも取れたなら、それはゼロではないという整理です。
一方で、送っただけで終われば本当にただの失敗です。分かれ目は、送る瞬間に何を取り、次の接点をどう約束したかにあります。
順に見ていきます。
実測:6か月でアポ187件、資料送付174件
私たちが支援している8つのプロジェクトのうち、資料送付を管理シートで記録しているものを対象に、2026年3月から8月までを集計しました。
アポイント: 187件
資料送付: 174件
比率: 0.93倍
ほぼ同数です。テレアポの成果を「アポ何件」だけで見ている現場では、この174件は数字に残りません。
月ごとに見ると、傾向はもう少しはっきりします。
2026年3月: アポ5件 / 送付2件
2026年4月: アポ10件 / 送付0件
2026年5月: アポ15件 / 送付27件
2026年6月: アポ41件 / 送付25件
2026年7月: アポ62件 / 送付50件
2026年8月: アポ54件 / 送付70件
直近の2026年8月は、資料送付がアポを上回りました(1.30倍)。

前半の月で送付が少ないのは、送付を記録する運用そのものが立ち上がっていなかったためです。つまりこの数字は「資料送付が増えた」というより、もともと起きていたものが見えるようになったと読むのが正確です。
この数字の作り方
各プロジェクトの月次集計から、同一期間・同一プロジェクトのアポ件数と資料送付件数を突き合わせています。資料送付は送付を実施した日ではなく、架電した日で数えました。送付作業のタイミングは相手の都合に左右されるため、架電日に揃えたほうがアポ件数と比較できます。
対象は8プロジェクト・のべ25プロジェクト月です。単月ではなく6か月・複数プロジェクトの合算にしているのは、月ごとの振れが大きいためです。
「切り返してアポにする」だけでは足りない理由
上位に並ぶ解説記事の多くは、資料送付を求められたときの切り返しトークを教えてくれます。それは有効ですし、私たちも現場でやります。
ただ、切り返しが全戦全勝になることはありません。相手に本当に時間がないことも、社内で情報を集めている段階であることもあります。切り返しの成功率をどれだけ上げても、送付になる分は必ず残ります。
支援先との振り返りでも、同じ見方が出ています。「駄目だから資料送付になるわけではなく、相手側の検討タイミングの問題でもある。そこで逃さないという意味で資料送付には意味がある」——断りかどうかではなく、時期が合っていないだけの相手をどう保持するかという捉え方です。
そして残った分の設計が無いと、こうなります。
誰宛に送ったのか記録がない
相手が何を知りたかったのかが分からない
次にいつ連絡するかを決めていない
この3つが欠けた送付は、あとから追いかけようがありません。担当者名も分からないまま代表番号にかけ直すことになり、実質的にゼロからのやり直しです。
逆に言えば、この3つを取るだけで、送付は次につながる接点になります。切り返しの技術とは別に、送付が発生した瞬間の手順を決めておく価値がここにあります。
資料送付が決まった瞬間に決める4つのこと
私たちが現場で標準にしている手順です。どれも通話を長くせずにできます。

1. 宛名を取る(部署と氏名)
「どちら宛にお送りすればよろしいでしょうか」と聞きます。資料を送る以上、宛名を聞くのは自然な流れなので、断られにくい質問です。
ここで担当部署と氏名が取れると、次の架電が代表番号への飛び込みではなく、指名での連絡になります。送付で得られる情報の中で、最も価値があるのはこれです。
2. 「何を見たいか」を一つだけ聞く
「お送りするにあたって、特にどのあたりをご覧になりたいですか」と聞きます。
答えは一言で構いません。「価格感」「事例」「他社との違い」——どれが返ってきても、次の会話の入り口になります。何も聞かずに一式送ると、次に電話したとき「見てないですね」で終わります。
私たちはこの一言に応じて、送付する文面を数パターンから出し分けています。料金に関心がある相手にはその比較が見えるように、会社そのものを知りたいだけの相手には料金に踏み込まずに送る、という具合です。
全員に同じものを送らないというだけで、返信率は目に見えて変わります。実際に、送付後に問い合わせの往復が2回続き、そこから商談につながった例もあります。
3. 次の連絡日をその場で決める
「では来週の水曜あたりに、ご覧いただけたか確認のお電話をしてもよろしいですか」と置きます。
日付を出すのがポイントです。「またご連絡します」だと、かけ直したときに突然の電話になります。一言もらっておけば、次は約束の履行になります。
ただしここは相手を見ます。検討時期を詰めて聞くと、見積もりを迫られているように受け取られ、押し売りの印象になることがあります。聞ける相手かどうかの判断は現場に委ねていて、無理なら日付を置かずに宛名だけ取って引きます。優先順位は、宛名 > 見たいところ > 連絡日の順です。
約束を置けなかった先を何回まで追いかけるかは、架電回数別の接触率を実測した記事にデータがあります。
4. 送付記録に「結果」を書く欄を作る
これは通話中ではなく運用の話です。送った先が後でどうなったかを書く欄が無いと、資料送付という活動が改善できません。
正直に言うと、私たちもここが弱かった部分です(後述します)。
なお、この4つを現場全員に徹底させる運用づくりまで含めてご相談いただくこともあります(お問い合わせ)。
そのまま使える送付メールの文例
宛名と「見たいところ」が取れている前提の文面です。
件名: 【資料送付】お電話いたしました株式会社◯◯の△△です
>
◯◯株式会社
××部 ××様
>
お世話になっております。先ほどお電話いたしました株式会社◯◯の△△と申します。
お忙しいところご対応いただきありがとうございました。
>
お電話でお伝えした「◯◯(相手が見たいと言ったもの)」について、資料をお送りいたします。
特に◯ページ目に、いまお話しした内容をまとめております。
>
内容についてご不明な点がありましたら、このメールにご返信ください。
また、◯月◯日(◯)ごろに、ご覧いただけたかご確認のお電話を差し上げます。
>
引き続きよろしくお願いいたします。
意識しているのは3点です。
電話で聞いた「見たいところ」を件名か冒頭で回収する。一式送っただけのメールとの差はここに出ます
どこを見ればいいかを指定する。資料全体を読む人は多くありません
次の連絡日を書く。電話で約束したことを文面にも残しておくと、かけ直しやすくなります
このデータで、私たちが言わないことにしたこと
書けなかったことも残しておきます。
資料送付が最終的にどれだけアポになったか、私たちは出せませんでした。
送付管理シートには結果を書く欄があります。ただ実際に集計してみると、その欄が埋まっていない行が相当数ありました。さらに、あるプロジェクトではその欄を「どの資料を送ったか」のメモとして使っていて、結果欄としての定義が揃っていませんでした。
この状態で「資料送付の◯%がアポになります」と書くことはできます。書けますが、分母が信用できません。記録が揃っている先だけを数えると、記録する動機があったプロジェクトに偏ります。
なので、この記事で示したのは「どれだけ起きているか」だけです。「送ったあとどうなるか」は、結果欄の運用を揃えてから改めて集計します。
自社で同じことをやろうとしている方にも、ここは先に手を付けることをおすすめします。送付件数を数えるより、結果欄の選択肢を3つくらいに固定するほうが先です。
よくある質問
Q. 「資料を送ってください」は断り文句ですか
断りとして使われることは多いです。ただ私たちの実測では、資料送付はアポとほぼ同数(6か月で187件対174件)発生しており、すべてを断りとして処理すると量が大きすぎます。切り返しを試みたうえで、送付になった分は次の接点として設計するのが現実的です。
Q. 資料を送るとき、最低限何を聞いておけばいいですか
宛名(部署と氏名)です。これが取れているかどうかで、次の架電が指名連絡になるか代表番号への再挑戦になるかが変わります。余裕があれば「特に見たいところ」を一つ聞いておくと、次の会話の入り口になります。
一度接点のあった先にかけ直すときの持ち帰り項目は、休眠顧客の掘り起こしの記事でも同じ形で扱っています。
Q. 送付後のフォローコールはいつかけるべきですか
電話口で日付を決めてしまうのが確実です。「来週の水曜ごろに」と置いて相手の同意を取っておけば、次は突然の電話ではなく約束の履行になります。日数そのものより、約束があるかどうかの差が大きいと感じています。
Q. 資料送付は成果として数えるべきですか
数え方を決めておくことをおすすめします。アポと同じ列に混ぜると成果が水増しに見えますが、記録しないと今回のように「起きていたのに見えない」状態になります。私たちは架電日ベースで別立てに記録しています。
Q. 粘るべきか、素直に送るべきかの判断基準はありますか
私たちは、宛名とメールアドレスが取れるかどうかを分岐にしています。粘ってもアポに届かないと判断した時点で、担当者名と連絡先を取ることに切り替えます。そこさえ取れていれば次の接点が作れるためです。逆に宛名を取らずに送るくらいなら、粘ったほうがまだ見込みがあります。
Q. 自社で同じ集計をするには何が必要ですか
架電日・送付先・宛名・結果の4項目が記録されていれば足ります。逆にこの4つのうち結果が抜けると、送付後の効果は測れません。まず結果欄の選択肢を固定し、記入を運用に組み込むところからです。
記事のまとめ
資料送付は、支援先8プロジェクト・6か月でアポ187件に対し174件(0.93倍)発生していた
直近の2026年8月はアポ54件に対し送付70件と、アポを上回った
切り返しの成功率を上げても送付になる分は残るため、送付発生時の手順を別に決めておく
送る瞬間に取るべきは、宛名・見たいところ・次の連絡日の3つ
送付後の効果測定は、結果欄の運用を揃えるところから
テレアポの成果をアポ件数だけで見ていると、同じ規模で起きている接点が数字に残りません。
次にやることは、自社の資料送付が月に何件起きているかを数えることです。集計そのものは難しくありません。ただ実際にやってみると、記録の取り方を現場全員で揃えるところが重くなります。宛名と結果欄を毎回埋めてもらう運用は、架電の合間に定着させる必要があり、体制がないと数か月かかります。
そこも含めてご相談されたい場合は、ページ下部の「お問い合わせ」からご連絡ください。記録の取り方の設計からご一緒しています。
執筆: 株式会社Woltz インサイドセールス支援チーム
株式会社Woltzは、BtoB企業のインサイドセールスを設計から実行まで支援しています。これまでに100社以上の新規開拓を支援し、継続率は99%です。
本記事の数値は、支援先8プロジェクト・のべ25プロジェクト月(2026年3〜8月)の月次集計を突き合わせた実測値です(社名・業界・商材は伏せています)。支援の進め方はサービス概要とサービス紹介資料をご覧ください。
関連記事:何回まで追いかけるかはテレアポの再コールは何回まで意味があるか、接点が残っているリストの返り方は休眠顧客の掘り起こしテレアポで書いています。

CONTACT
売上の最大化に繋がる
インサイドセールスを
実現しませんか?
売上の最大化に繋がる
インサイドセールスを実現しませんか?

